SDGsウォッシュとは、SDGs活動を行なっているように見せかけて、実は活動していない、または活動をしているが、ほぼしていないのと同じ状態の事を指します。
主に、企業に対して批判を行なう際に使われていて、「◯◯会社はSDGs活動を前面に押し出しているがあれはSDGsウォッシュだ」などと使われています。
SDGsウォッシュの語源にあたるものは「ホワイトウォッシュ」という言葉で、アメリカで老朽化が進んだ家屋の外壁を白く塗り直す事をホワイトウォッシュと言い、それが転じて「取り繕う」「ごまかす」などの事を指す隠語になり、その後「グリーンウォッシュ(環境活動をしていると見せかける行為)」や「ピンクウォッシュ(女性活躍推進をしていると見せかける行為)」などに波及し、その流れでSDGsウォッシュという言葉もできたのではないかと考えます。
具体的に会社名を挙げるのは難しいので、分かり易い例として2つ挙げたいと思います。
まずは「SDGs活動を行なっているように見せかけて実は活動していない」ですが、大きく目標を掲げているのに具体的アクションについては何ら言及されていなかったりすると、その発言を聞いたり見たりした人はSDGsウォッシュを疑う可能性が高くなります。
また「SDGs活動をしているが、ほぼしていないのと同じ状態」は、開発国の教育改善のために現地へ学校建設を行なったりしているのに、購入している材料はフェアトレードではなく児童労働を行なっている地域のものを買っていたりすると、これってSDGsウォッシュなんじゃないの?と疑われることになったりします。
当然、ほぼ全てに近い企業の皆さんはSDGsの目標達成に少しでも寄与しようという思いで行動を起こした方々ばかりだと思います。何の発信もしていなければ、そもそもSDGsとその企業とが結びつかない訳ですから、多くの何もしていない企業と比較して第一歩は踏み出しているわけです。
しかし、活動を継続していなかったり、定期的に情報発信していなかったり、目指す目標に対して矛盾した行為を知らずしていたりと、最初はちょっとした差異が時間とともに大きな批判のもとになってしまったりするのです。
また、「SDGsウォッシュ」という言葉がキャッチーであり、批判的で(何かを批判することはカッコイイという浅知恵)、相手に対して調べていない状態でも、気軽に使いやすい言葉である事もSDGsウォッシュを広げてしまう一因なのではないかと感じています。
このように、SDGsウォッシュの問題点は「SDGsを推進する側」と「それを見ている側」と、大きく2つに分ける事ができます。
仮に、SDGsウォッシュではないかという批判を推進側が受けた場合、その批判に対する充分な説明を行なわなければいけません。それは通常の企業活動やSDGsの発信に関する活動に加えて更に行わなければいけない行動が増える事となり、より多くのリソースを割かなければいけなくなります。
それにSDGs活動に理解を示し積極的にかつポジティブに関わっていた筈の社員への悪影響も計り知れないでしょう。
例え直接的にSDGs活動のセクションではなかったとしても「良い事をしていた筈なのに何故批判を浴びるのか?」といったネガティブな感情が社員に芽生えてしまっても、それが根も葉もない五階であったとしても、実際に批判を請けている状態であれば、これは仕方ないのかもしれません。
折角、多くの有象無象の企業と違って意識をもってSDGsに取り組んでいる(取り組もうと思っている)企業が、批判を恐れてSDGs活動の情報発信を取り下げ、活動そのものを停止し、世界規模で問題になっている様々な課題が改善するスピードが少しづづ(または驚異的に)遅くなり、停滞してしまう。この事こそ、SDGsウォッシュの最大の問題点ではないかと感じています。
まず、SDGs活動はCSR活動と違うものであると明確に定義する必要があります。
SDGs活動を行なっている様々な方と情報交換し、それらの方々はどのようなスタンスで活動を行なっているのか?寄付などの社会貢献活動と何が違うと考えているのか?意見を取り込み、ある程度の情報を蓄積しておくことがスタートであると言えます。
次に、自社の企業活動を振り返り、既にSDGs活動として当てはまっているのではないかというものを拾いだしていきます。
現状、SDGs活動を行なっていて成果を上げている皆さんは「SDGsというものが認知される前から活動していた」とおっしゃる方が多いです。SDGsという何だか波のようなものが来ているから何か新しい事をして乗っていこうではなく、今の経営活動のこの部分、SDGsに相応しいのではないか?という要素を見つけ出すのが持続する活動の重要ポイントではないかと考えます。
それから一番重要なものは持続させる事。その活動によって世界的課題である◯◯の課題解決に貢献するのだ、という意思があって行動があるのですから、目標達成まで活動を続けなければいけません。
企業活動とSDGs活動がリンクしていれば、その持続性は強化されるものと感じます。
良い活動だからといって欲張らない事も重要ではないでしょうか。
人も企業も全能の存在ではありませんので、全てのSDGs目標達成に寄与しようという事は実際問題として不可能かと思います。自らが得意とする領域で目標達成に寄与するという姿勢が、誠実な態度と言えると思います。
それから、SDGs活動の進捗や成果は定量的に評価し続ける事も大事です。
SDGsの17のゴールに対する169のターゲットを見れば明らかですが、非常に具体的数字が示されています。ターゲットの数字は世界規模でそのまま自社の目標数値には当てはめられませんが、そこに寄与する活動として◯◯があり、まずは△△達成を目指す、という具体的数字があれば、「本当に活動しているのか?」という疑問や「はいそれSDGsウォッシュね!」というような浅薄な批判に対してシッカリと回答や反論ができるかと思います。
これらの手順をチェックし、軌道修正しながらSDGs活動を進めていくのがSDGsウォッシュによって誤解を受けて活動が停滞するのを防ぎ、世界的な課題解決へ向けた貢献が進んでいけるよう、頑張ってください。ご活躍を応援しています!