目標6.安全な水とトイレを世界中に ターゲット3
日本全国における汚水処理人口普及率(汚水処理施設の普及状況を表す割合)は92.6%で約930万人が汚水処理施設を利用できない状況にあります。
一方、世界では日本よりも汚水処理施設の普及が進んでいない国や地域が多数あり、改善しなければならない問題となっています。
排水は、産業排水と生活排水に分類されます。
産業排水とは工場や農場から排出される水のことで、生活排水とはし尿や台所からの排水など私たちの暮らしで発生する汚水です。
かつて、水質汚濁の主な原因は産業排水でした。
日本では産業排水により水俣病やイタイイタイ病などの公害が発生し、これがきっかけとなって規制整備が進みました。
その結果として産業排水は改善されましたが、現在の日本の水質汚濁の主な原因は、生活排水に切り替わっています。
世界の水質汚濁の主な原因もまた生活排水です。
とくに、下水道が整っていない新興国の生活排水による水質汚濁が問題視されています。
著しい人口増加に伴い、生活排水の量も増加しているためです。
たとえば、多くの新興国で都市化が進んでいますが、都市化の進展と同時に都市の周辺にスラムが形成されています。
スラムは不法に人々が暮らしている地域がほとんどであるため、行政によるインフラ整備が進んでいません。
その結果として、これらの地域の生活排水がそのまま川や海に流れ出ることになり、公衆衛生上・環境上に問題が生じているのです。
地球上にある全ての水のうち、飲料水などに適している淡水は約2.5%しかありません。
さらに、氷や氷河といった使用が難しい水源を除くと約0.8%まで少なくなります。そのため、限りある淡水の再利用が非常に重要です。
生活排水などの汚水を自然に放出・再利用するためには、浄化処理が必要不可欠です。
汚水には自然の浄化作用以上のリンや窒素が含まれており、浄化処理を施さなければ地下水の汚染や土壌汚染につながり、作物や畜産物の病気・死亡などの被害が発生します。
私たちが飲料として使用してしまった場合は感染症や中毒症状に陥る危険性があるのです。
現在、汚水は「活性汚泥法」という方法で浄化されています。
固形物を取り除いた後に、微生物に汚水を分解してもらう方法です。
活性汚泥法は自然よりも早く浄化が可能である一方、大規模な設備が必要で、また、余剰汚泥(活性汚泥法の工程で生じる汚泥のこと)が発生するといった課題があります。
次回の記事では、ターゲット4について解説していきます。