目標6.安全な水とトイレを世界中に ターゲット6
水不足問題を改善するためには健全な水を確保し続けなければなりません。
そのためには、淡水の母体となる自然環境を保全することが一番重要の手段です。
水圏生態系とは、水域にある生態系のことで、水界生態系とも呼ばれています。
水圏生態系の中では、生物の群集がお互いに、また環境にも依存して生活しており、「海洋生態系」と「淡水生態系」の2つに分類されます。
海洋生態系とは、塩沼、海岸、河口、ラグーン、マングローブ、サンゴ礁、深海などの多様な海洋環境と、そこに生息し、相互に関わり合う生物を言います。
一般に海洋生態系は、光合成を行い水中の栄養塩を吸収する植物プランクトンや海藻等の一次生産者を基礎として、生物の死骸も含む一次生産者を直接的・間接的に捕食する生物、さらにそうした生物間の食物連鎖で構成されています。
淡水生態系とは、河川、湖、池、沼、湿地などのことを指します。
その他にも雨を蓄える機能があるという意味で、森林や、山、地下水のある帯水層も淡水を蓄える生態系に含まれます。
淡水生態系は基本的に3つの種類に分類されています。
静水(止水):水たまり、池、湖など、ゆっくりと動く水
動水:小川や川など、動きの速い水
湿地:少なくとも一時的に土壌が飽和しているか、浸水している水域
私たちの生活は、淡水生態系から提供される様々なサービスによって成り立っています。
SDGsの目標として掲げる「安全な水」の供給には、この多様な淡水生態系を支える淡水域の自然が大きく関わってきます。
雨として降り注ぐ水は、森林や山地、湿地などの土壌や植物により保水され、毎日安定した量で河川や湖沼に供給されています。
森林や山地、湿地などがなければ、雨として降り注いだ水は保水されることなく、すぐに涸れてしまうでしょう。
さらに、水に含まれる養分や有機物も淡水生態系によりもたらされています。
また、水は絶えず循環する物質です。
人間が出している排水の80%が自然に戻されているとされていますが、こうした排水を濾過し、再び健全な水に戻す役割を担うのも淡水生態系です。
淡水生態系は、水の供給、制御、調整、浄化などの生態系の機能を通して、私たちに必要で健全な水を作り出しているのです。
次回の記事では、ターゲットaについて解説していきます。