目標6.安全な水とトイレを世界中に ターゲット5
慢性的な水不足に悩む地域では、水資源に関する問題を抱えています。
気候変動による渇水と水資源供給の障害や国境をまたぐ水源の権利、適正な保全下にない地下水、水源地域の環境変化が代表的な課題です。
SDGsでは水資源問題を解決するために、国境を超える統合的水資源管理が必要だと提起しています。
統合的水資源管理とは、自然環境や生態系の持続性を維持しながら、水による経済的・社会的な恩恵を、公平かつ最大限に享受できるよう水資源を管理する手法の総称です。
統合的水資源管理では、河川、地下水、雨水、蒸発水など、自然界におけるすべての水の循環段階を管理対象としています。
工業排水や生活排水などによって河川が汚染されることで、周囲の地下水も汚染され、海に流れ蒸発して雲になり、汚染された雨として地表に降り注ぎます。
水は絶えず循環しているため、地表水、地下水、河川、上下水道と別々に考えるのではなく、すべての利害関係者を含めて水利用の安全性を考える必要があるのです。
SDGsでは各国、各地域の政府や地方自治体、住民や企業などあらゆるレベルの人々が参加する水資源管理を実施しようと訴えています。
日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)では慢性的な水不足に苦しむスーダンの統合的水資源管理能力強化プロジェクトを行っています。
このプロジェクトは、水資源管理の実践を通して、政策・戦略・計画等の質向上や水資源関連事業の改善を目的としています。
スーダンは水源のほぼすべてをナイル川に依存しています。
安全な水へのアクセス率は55%程度、その貴重な水資源の90%は農業や家畜に使用されており、生活用水に使われるのは、「わずか3%」です。
この状況にも関わらず、水量観測や設備管理が不十分であるなど、多くの課題を抱えています。
スーダンへの日本による支援内容
・水資源管理や表流水開発、地下水開発の専門家を現地に投入
・機材を供与
・スーダン側のスタッフに対し複数回の研修を行う
この計画は、第一期、第二期に分けて行われ、最終的には統合的水資源管理の実践から、法制度・体制の完備まで提言していきます。
以上のように、自国での統合的水資源管理が難しい開発途上国に対しては、国境を超えた協力体制の構築が必要となります。
次回の記事では、ターゲット6について解説していきます。