目標5.ジェンダー平等を実現しよう ターゲット2
女性は身体的要因や社会的立場の観点から、男性と比べて直接的な暴力を受けやすい傾向にあります。
あらゆる形態の暴力の排除はジェンダー平等を達成するために解決しなければならない問題なのです。
人身取引(人身売買)はその被害者に対して多大なる肉体的・精神的ダメージを与える深刻な問題であり、解決すべき重要な課題として位置づけられています。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、2012年から2014年の間に世界106の国や地域において、合計63,251人が人身取引の被害者となったことが報告されているのです。
近年、強制労働を主な目的とした男性の被害者数が増加傾向にあるものの、依然として女性や女児が被害者の大半を占めています。
これらの被害者は、縫製工場や農場での強制労働や強制結婚などの人身取引が対象です。
しかし、その中でも人身取引の目的として最も多くを占めるのが強制売春やポルノの製作を始めとする性的搾取であり、被害者となる女性・女児のうち、約4人に3人がこの目的のために人身取引に巻き込まれている現状があるのです。
暴力は主に3つの形態、身体的暴力、精神的暴力、性的暴力に分類されます。
身体的暴力:殴る・蹴る・髪を引っ張る・物を投げつけるなど身体に傷をつけ、痛みを与える行為
精神的暴力:怒鳴る・無視する・見下した言動をとるなど心を傷つける行為
性的暴力:同意のない性的行為の強要・中絶の強要・避妊に協力しないといった性に関する支配的な行為
精神的暴力はさらに、生活費を与えない・仕事を制限するなどの経済的暴力と友人付き合いの制限や連絡の頻繁な確認をするなどの社会的暴力に分類されます。
こういった暴力は男性に比べて、女性の方が受けやすい傾向にあります。
内閣府男女共同参画局による「男女間における暴力に関する調査(平成30年)」によると、配偶者から暴力を受けた経験は男性が19.9%、女性は31.3%でした。
また、被害を受けたことがある方のうち、命の危険を感じたことのある方は男性が3.1%、女性は15%と大きく異なり、女性の被害が深刻であることが分かるでしょう。
一般に女性は体格や筋力の違いにより男性よりも相対的に弱く、また、経済的にも相対的に劣った立場に置かれてしまうことが最大の要因なのです。
次回の記事では、ターゲット3について解説していきます。