目標4.質の高い教育をみんなに ターゲットb
高等教育を受けられない人が多数いる要因の1つに、教育費や生活費など費用の負担が大きいことが挙げられます。
教育に必要な費用の負担を減らすために奨学金制度が設けられていますが、すべての人が受けることはできないなど、様々な課題があります。
日本を含めて多くの先進国では高等教育を受けるにあたって奨学金制度が設けられています。
国によって制度内容や条件は異なりますが、奨学金には大きく分けて2種類あります。
・給付型奨学金:返済の必要がない(支給条件が厳しい)
・貸与型奨学金:返済の必要がある(無利子もしくは低利子)
OECD加盟34カ国中、17カ国は授業料が無料です。
また、32カ国には返済の必要がない給付型奨学金があります。
欧米諸国を中心に、世界的には返さなくて良い給付型奨学金が一般的であるのに対して、日本の奨学金利用者の約90%は返済が義務づけられた貸与型奨学金を活用しています。
しかも貸与型のなかでも有利子である第二種奨学金の割合が、人数で約71%、金額で約73%と非常に高く、事実上の教育ローンとなっているのです。
フィリピンや東南アジアおよびアフリカの途上国には貧困層が多いため、たとえ奨学金(学費)が無料でも通学費や食事代が支払えない、勉強に必要な文具や制服が買えないなどの理由で教育を受けられない子どもが大勢います。
財政状況の厳しい開発途上国では、教育の普及にかけられる予算が少ないため、国際的な協力も必要です。
また、開発途上国における職業訓練や情報通信技術(ICT)、さらに工学系の学習機会は極めて限られていると言えます。
職業訓練はその実施において最新の設備が必要不可欠なものとなるため、非常にコストがかかり、開発途上国にとってその整備を行うことは財政的にかなり厳しいのです。
開発途上国における職業訓練、情報通信技術(ICT)、工学分野での人材育成には、中進国や先進国への留学や研修が欠かせないものとなってきています。
これからは、国際的な奨学金制度を立ち上げたり、国際的に留学生や研修生を交換したりする取り組みが増えてくるでしょう。
次回の記事では、ターゲットcについて解説していきます。