目標4.質の高い教育をみんなに ターゲットa
国連は障害児と健常児が共に学ぶ「インクルーシブ教育」を定義として掲げており、欧米などで浸透しつつあります。
これまでの「障害のある子供たちと、それ以外の子供たちとを隔てて教育する」という概念を覆す教育方法です。
インクルーシブ教育とは、国連が障害者権利条約の元で原則として推進する「能力やニーズによらず、すべての生徒を受け入れる教育システム」のことを指します。
つまり、国籍や人種、宗教、ジェンダー、そして障害の有無に関わらず、本人や家族が望む限りすべての生徒が必要なサポートを受けながら通常学級で学べる環境こそが、インクルーシブな教育環境なのです。
インクルーシブ教育の実現は、障害者をはじめとした社会において排除されがちなマイノリティが、社会参画するために必要不可欠だと述べられています。
日本の政府開発援助(ODA)実施機関として、開発途上国への国際協力を行っているJICAでは「障害と開発」の取り組みを通じ、すべての障害者の人権の尊重および「完全参加と平等」並びにインクルーシブな社会を実現することを目指しています。
文部科学省も示していますが、インクルーシブ教育を構築・確立していくためには、特別支援教育が欠かせないものと言えます。
特別支援教育とは、障害のある子供たちに対して通常の教育を行うことに加えて、子供の自立を促すために必要な教育をすることです。
目指すべき最終ゴールが、障害のある子供とない子供が同じ場で同じ理解を得る教育を行うインクルーシブ教育であり、その前準備としての特別支援教育が重要なポジションにあります。
世界保健機関(WHO)によると、世界の人口の約15%が障害者であり、障害者の約80%は開発途上国で暮らしています。
障害者の多くは保健、教育や就労の機会が制限され、さらなる貧困状況に陥りやすいという悪循環の中にあります。
実際に世界の小学生相当の不就学児約6,000万人のうち、3分の1が障害児だと言われているのです。
さらに世界的にインクルーシブ教育の充実化が目標とされている中、特別支援教育すら整っていない国や地域もあり、解決すべき問題となっています。
以上のように、障害者を含めて平等に教育を受けられるようにするためには、特別支援教育体制、さらにインクルーシブ教育の導入が必要です。
次回の記事では、ターゲットbについて解説していきます。