目標3.すべての人に健康と福祉を ターゲット9
有害化学物質や大気、水質及び土壌の汚染は人々の健康を害する要因となっています。
環境汚染が原因で死亡した人の数が2015年には世界中で900万人に上るなど甚大な被害が生じており、死亡者数を減少させるための対策が必要です。
有害化学物質とは
有害化学物質とは人々の健康や環境に悪い影響を与える物質のことを意味し、具体的には、以下のような種類があります。
・重金属
有機水銀やカドミウムなどで比重が4以上の金属。体内で蓄積されると害を与えることがある。
・残留性有機汚染物質
PCB、ダイオキシン類、塩素系農薬など人間の健康に害をおよぼす有機物。難分解性、生物蓄積性、毒性、長距離移動性をもつ。
・環境ホルモン
プラスチックや農薬など多くの工業製品に含まれる化学物質。人や動物の内分泌系に影響を与えるとされており、体内に入ると生体に障害、有害な影響を引き起す。
環境問題の状況
日本では過去にメチル水銀が原因の環境汚染により、水俣病などの公害問題が発生しました。
このような経験を繰り返さないために、国や自治体、産業界などではさまざまな対策が行われていますが、化学物質による有害な影響の恐れが決して無くなったとは言えません。
具体例として、現在では以下のような環境問題が人々の関心を集めています。
・ダイオキシンによる環境汚染
・ 環境ホルモン
・ポリ塩化ビフェニル(PCR)の処理
そこで環境庁では、これらの問題を踏まえて、PRTR(環境汚染物質排出移動登録)を導入するため、通商産業省と共同で「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」をまとめました。
環境庁では、これらに基づいて各種の調査・研究を進め、行政的な措置について検討を進めていきます。
環境問題への具体的な対策
環境庁はダイオキシン対策について、平成9年8月に「ダイオキシン対策に関する5カ年計画」を策定、さらに大気汚染防止法の施行令の一部改正による規制的措置の実施を行うなど、さまざまな観点から調査、研究等を進めています。
環境ホルモンについては、「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」を設定し、各種の調査・研究を進めるなど、行政的な措置のあり方について検討されています。
ポリ塩化ビフェニル(PCR)の処理など、化学物質対策についても平成8年度の調査結果をとりまとめた「化学物質と環境」概要版を公表するなど、調査や研究を進めています。
以上のように様々な対策によって有害化学物質や環境汚染による死亡者数の減少を目指していく必要があるのです。
次回の記事では、ターゲットaについて解説していきます。