目標3.すべての人に健康と福祉を ターゲット8
世界では人口の約半分の人が保険医療サービスにアクセスできていません。
WHOの調査によると、約1億人の人々が医療費を支払うために、「極度の貧困」に苦しんでいたり、約10億人の人々が、医療費のために家計の10%以上を支払ったりしていることが分かっています。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、「すべての人が、健康増進、予防、治療、機能回復に関する保健サービスを、必要な時に負担可能な費用で受けられる状態」のことを指します。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成には、次の3つのアクセスの改善が必要だとされています。
①物理的アクセス
・地域に医療機関がない
・医師や看護師がいない
・医薬品・医療機材がない
上記のどれか1つでもそろっていなければ質の高いサービスは提供できません。しかし、これが不足している地域が実際にあることから健康格差が生まれてしまっています。
②経済的アクセス
・医療費の自己負担が高くて払えない
・受診するための交通費が高い
・病気によって働けなくなり、収入が減る
世界では、毎年およそ1億の人が医療費の支払いにより貧困に陥っており、約8億の人が家庭の10%以上の収入を医療サービスに費やしています。
③社会慣習的アクセス
・医療サービスを受ける必要性
・重要性を知らない
・治療を受けたくても周囲の理解が得られない
・言葉が通じない
保健医療サービスは老人や障害者介護もその一環であるものの、即時に命に関わる疾患でない場合に重要性や必要性を感じない国・地域も存在します。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた取り組み
日本をはじめとする世界の国々のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた取り組みについて紹介します。
●G7伊勢志摩サミット
G7伊勢志摩サミットは2016年に開催され、開催国である日本はG7として初めて首脳会談でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を主要テーマに設定しました。
サミットでは、国際社会が連携して発展途上国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の確立を支援することが表明されました。
その後、2019年のG20大阪サミットで、さらに各国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)への取り組みをまとめ、2030年のSDGsの達成に向けた話し合いが行われています。
●ユニバーサルヘルスカバレッジデー
毎年12月12日はユニバーサルヘルスカバレッジデーとなっています。
これは、2012年12月12日に国連総会でUHCを国際社会共通の目標とする決議が採択されたことを記念して設定されました。
UHCを推進する取り組みの一環として、「誰もが、どこでも、お金に困ることなく、自分の必要な質の良い保健・医療サービスを受けられる状態」の実現を呼びかけるイベントが世界中で開催されています。
次回の記事では、ターゲット9について解説していきます。