目標2.飢餓をなくそう ターゲットb
飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進するためには農産物の貿易体制の改善が必要不可欠です。
農産物貿易の現状
グローバル化の進展に伴い、貿易自由化の流れが一層強まることが予想されるなか、農産物貿易の一層の拡大が見込まれていますが、農産物貿易には様々な課題や問題点があります。
・農業生産は自然条件の制約を強く受けやすいため、生産量の変動が大きい
・生産に一定期間を有すること等から、国際的な需要の変動に即座に対応することが困難
これに加え、農産物は生産国の国内消費が優先される傾向が強い上に、貯蔵性の問題もあり、鉱物資源や工業製品と比べ貿易率は低いのが現状です。
実際に主要農産物の輸出は、5か国以内で全体の7割以上を占めているなど、特定の国や地域に偏りがある構造となっています。
このような農産物貿易の特徴を踏まえると、農産物輸入に依存する国や地域は、自国の食料安定供給の確保に向けて、国内農業生産の増大を図ることを基本としつつ、農産物輸入の確保と備蓄を適切に組み合わせていくことが重要であることがわかるでしょう。
農業輸出補助金とは
農業輸出補助金とは、輸出を促進するために輸出企業などに与えられる補助金のことで、世界貿易機関(WTO)農業協定第 1 条パラグラフ(e)に定義されています。
WTO 加盟国が報告した製品または製品グループごとに毎年使用される輸出補助金の水準に関する詳細な情報を提供することが目的です。
加盟国は規定により、輸出補助に関する予算支出額及び輸出補助金が支出された産品の輸出量について WTO に対して報告が義務付けられています。
農業輸出補助金には他国で同一の輸出品より価格を安くできるメリットがあり、国内で消費される以上に生産されている作物の輸出に補助されます。
一方で、農業輸出補助金には輸出農産物の価格を引き下げる効果があります。
したがって、輸出補助金の予算支出額は、かかる措置によって生じる歪みの程度の指標となっているのです。
このような補助金の削減と廃止により、世界の農業市場における貿易制限と歪みを減少させる働きが期待できます。
次回の記事では、ターゲットcについて解説していきます。