目標2.飢餓をなくそう ターゲットa
農業の生産体制強化を図るためにはインフラ整備や技術開発、種子・植物バンクなどへの投資が必要不可欠です。後発開発途上国が自前で投資費用を賄うことは難しいため、農業に特化した資金面での援助が求められています。
国際農業開発基金
国際農業開発基金は農業に特化した資金面援助を行う機関です。
国連の専門機関の一つで、1974年にローマで開かれた世界食糧会議で設置が議決され、1977年に発足、2019年7月時点には加盟国が177か国に達しました。
発展途上国での農業生産拡大のための融資を行うことが目的で、農村地帯の貧しい人々が食糧と栄養の安全保障を確保でき、所得も増加させるなど経済的な回復力の強化に専念しています。
言い換えると、農村における貧困削減と食料安全保障が確保できるよう、農村開発事業に必要な資金の融資を実施しているのです。
その活動資金は、加盟国からの資金拠出(政府からの任意の拠出金、特別拠出金、貸し付けの返済、投資収益など)によって賄われており、近年では3年ごとの間隔で増資し、2018年の第11次増資を経て事業総額は35億ドル程に達しています。
具体的な取組事例として、以下のものが挙げられます。
・加盟国から資源を動員し、低利子の貸し付けや無償資金を提供して農村開発を進める
・債務を持続できない貧しい国に対しては貸し付けの代わりに無償資金を供与する
国際農業開発基金は政府や他の国連機関、二国間・多数国間開発機関、国際的な農業研究センター、民間部門とのパートナーシップの下に活動しています。
管理理事会は全加盟国で構成されており、執行理事会は、18カ国の理事国と18人の代理理事国とで構成され、日常の業務を監督、また貸付けや無償資金を承認しているのです。
政府支出における農業指向指数
農業へ充てられる資金の比率を図る指標として、農業指向指数(AOI)があります。
農業指向指数(AOI)は、政府支出のうちの農業の割合を、GDPのうちの農業の割合で割ったものです。
農業指向指数(AOI)が1より大きい場合、農業部門は、その経済的価値に比べて政府支出の割合が高いことを意味し、逆に農業指向指数(AOI)が1より小さい場合、農業への指向が低いことを反映しています。
後発開発途上国などでは特に農業指向指数(AOI)を高め、農業へ十分に投資できる体制を整えていかなければなりません。
以上のように農業への投資を拡大し、インフラ整備や技術開発、種子・植物バンクなどの体制強化が求められているのです。
次回の記事では、ターゲットbについて解説していきます。