目標16 平和と公正をすべての人に ターゲット9
出生登録や法的身分証明は当然の権利と思われがちですが、未取得の人は世界中に数億人います。
貧困や社会的排除を深刻化させる要因の一つとなっているため、2030年までにすべての人に法的な身分証明が提供されることが目標として掲げられています。
出生登録は、子どもの存在を社会や国家が正式に認める行為であり、さまざまな公的サービスを受けるための基盤となります。
たとえば、学校への入学や医療を受ける手続きで、登録がないと権利が事実上制限されてしまうケースが少なくありません。
国連児童基金(UNICEF)の報告によれば、サハラ以南のアフリカや南アジアでは、遠隔地での役所へのアクセスや登録手数料、文化的な慣習などが理由で、多くの子どもが無登録のまま成長しています。
さらに成人後も身分証がないと銀行口座の開設や就職時の証明が難しく、貧困から抜け出す機会を逃してしまうリスクが高まります。
たとえば農村地域では、身分証がなければ市場取引や融資プログラムを利用できず、収入向上が妨げられる可能性があります。
このように登録や証明が欠如すると、生活のあらゆる面で不利が積み重なり、不平等の連鎖を生む要因となるのです。
すべての人々に法的身分証明を提供するため、各国や国際機関は多角的な施策を講じています。
まず制度面では、登録費用の無料化や移動サービスを導入し、都市部と農村部の格差を埋める努力が進められています。
インドの「アーダール」のような生体認証システムを活用したIDは、住民が銀行口座や補助制度を利用しやすくする具体例です。
また、ユニセフなどの国際機関やNGOも、保健センターや学校と連携し、新生児や子どもへのスムーズな登録を支援しています。
さらに、スマートフォンやタブレットを使った入力アプリを普及させることで、遠隔地でも迅速に登録手続きを完了できる仕組みが整備されつつあります。
出生登録や身分証明の普及は、貧困解消や社会保障の充実だけでなく、教育や医療の機会を平等にするうえでも欠かせません。
すべての人が正当に認められ、国や社会の一員として活躍できる環境を整えることこそ、「誰一人取り残さない」SDGsの理念に直結するのです。
次回の記事では、ターゲット10について解説していきます。