目標16 平和と公正をすべての人に ターゲット10
情報への公共アクセスと基本的自由の保障は、誰もが安心して暮らせる社会づくりの基盤です。
しかし、表現の自由や公共情報の開示が十分でない国や地域では、政府の不正や差別が見過ごされる恐れがあるため、国際協定に基づき「情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する」取り組みが目標として掲げられています。
情報への公共アクセスは、市民が自らの権利を理解し、政策決定に主体的に関わるために欠かせません。
政府や自治体が保持する予算や統計、審議の議事録などが公開されなければ、住民は自分たちに関係する施策の中身を知ることが難しくなります。
たとえば、公共事業や医療・教育政策の情報が不透明だと、汚職や不正が起きても住民側が気づけない恐れがあります。
逆に情報が広く共有されれば、メディアや市民団体が行政をチェックし、問題を公に問いただせるため、汚職や不正リスクが抑えられるのです。
さらに、住民が地域の課題を正しく把握できるようになるため、参加型予算のような仕組みが円滑に機能し、経済や社会の活性化にもつながります。
表現や集会、信教などの自由は、多様な意見を尊重する社会に不可欠ですが、それらを実質的に支えるのが「情報への公共アクセス」です。
国際連合(UN)やユネスコ、国際人権団体は、各国の情報公開制度やメディア自由度を監視し、改善を提案しています。
たとえば、国際規約「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」は、報道の自由や知る権利の重要性を再確認しており、署名国は情報公開請求などの法制度を整える義務を負います。
さらに、技術面でもオンラインデータベースやSNSを活用する動きが活発化しており、都市部だけでなく農村や離島地域の住民が公共情報にアクセスし、意見を述べやすい状況が整いつつあります。
このように、情報公開が進めば、多様な人々が現状を把握し、意見を出し合いながら課題解決に取り組めるため、社会全体の公正と満足度が高まるのです。
次回の記事では、ターゲットaについて解説していきます。