目標15 陸の豊かさも守ろう ターゲット9
生態系と生物多様性の価値を経済や政策に反映させることは、持続可能な社会の実現において欠かせません。
自然資源の価値を正しく評価し、国や地方の計画、貧困削減戦略に取り入れることが重要です。
生態系と生物多様性は、私たちの生活を支える根幹となるものです。
これらは、食料、水資源、薬用植物といった直接的な資源を提供するだけでなく、気候調整や水質浄化などの「生態系サービス」も担っています。
例えば、森林は二酸化炭素を吸収して地球温暖化を抑制するだけでなく、土壌の浸食を防ぎ、河川の水量を調整します。
また、湿地は洪水を緩和し、浄水機能を果たします。このような生態系サービスは、地域社会の持続可能な発展に欠かせません。
しかし、これらの価値は経済活動の中で正しく評価されないことが多く、結果として乱開発や資源の過剰消費が進む要因となっています。
そのため、生態系と生物多様性の価値を会計や政策に反映する取り組みが世界的に求められています。
生態系や生物多様性の価値を政策や計画に組み込むことは、社会や経済における持続可能性を高める重要な手段です。
この取り組みの具体的な意義を以下に示します。
・環境負荷の低減
生態系や生物多様性の価値を考慮することで、開発による環境への悪影響を最小限に抑えられます。
例えば、森林伐採を伴う開発計画で、生態系サービスの価値を評価することで、持続可能な伐採量や植林の必要性が計画に反映されます。
・貧困削減と地域社会の強化
生態系の恩恵を正しく評価することで、地域の自然資源を保護しつつ持続可能な利用を図ることができます。
これにより、特に発展途上国においては、自然資源に依存した生活を送る人々の生活基盤が安定します。
・気候変動への適応
気候変動の影響を緩和するための対策として、生態系サービスの利用は欠かせません。
例えば、沿岸部でのマングローブ林の保全は、高潮や台風の影響を抑える自然の防波堤として機能します。
このように、生態系と生物多様性の価値を経済や政策に反映させることは、環境保全だけでなく、地域社会の持続可能性を強化し、地球規模の課題に対処するための重要なステップです。
次回の記事では、ターゲットaについて解説していきます。