目標15 陸の豊かさも守ろう ターゲット8
地球には多様な動植物が存在し、それぞれが生態系の中で生産者、消費者、分解者として役割を担い、食物連鎖を構成しています。
しかし、外来種による生態系への影響が世界的に問題となっており、外来種の侵入とその影響の抑制が急務とされています。
外来種とは、人間の活動や偶然の要因によって、本来生息していない地域に移入された動植物のことです。
外来種は、特に天敵が少ない新しい生息地で急速に増え、現地の生態系に深刻な影響を与えることが少なくありません。
例えば、日本ではアメリカザリガニやブルーギルが外来種として知られており、これらが在来種の魚や水生昆虫、植物の生息環境を脅かしています。
アメリカザリガニは在来の水生昆虫を捕食することで川や池の生態系バランスを崩し、また、南米から持ち込まれたナガエツルノゲイトウという水草は、川や湖で繁殖して水流を妨げるなどの問題を引き起こしています。
こうした外来種の増加は、在来種の絶滅リスクを高め、生物多様性の低下を引き起こすため、自然環境に深刻な打撃を与えています。
外来種の侵入を防ぎ、その影響を抑えるためには、国際的な連携が不可欠です。
国際連合は、1992年に採択された「生物多様性条約」において、外来種の侵入防止と管理の重要性を強調し、各国が協力して対策を進めるよう推奨しています。
この条約に基づき、各国は外来種の予防・監視・管理を強化し、生態系への影響を最小限に抑えることを目指しています。
日本でも「外来生物法」により、有害な外来種の輸入や飼育、放出が規制されています。
違反者には罰則が科されるため、外来種の侵入を防ぐ体制が整備されています。
また、国内では外来種の駆除活動やモニタリングも行われ、在来種の保護と生態系の復元が進められています。
さらに、観光や貿易の増加に伴い、外来種の移動が増加している現状では、空港や港での検疫を強化し、水際で外来種の侵入を防ぐことも重要です。
次回の記事では、ターゲット9について解説していきます。