目標14 海の豊かさを守ろう ターゲット3
人類の活動が原因で放出される二酸化炭素は、地球の気温上昇の大きな要因であり、この現象は海洋にも深刻な影響を与えています。
そのなかでも、大気中に排出された二酸化炭素の大部分が海に吸収されることで生じる「海洋酸性化」が近年深刻化しています。
海洋酸性化とは、海水が酸性に近づく現象のことで、主な原因は大気中の二酸化炭素(CO₂)が海洋に吸収されることです。
海洋は大気中のCO₂の約30%を吸収しており、その結果、海水のpH値が低下し、酸性化が進行します。
この現象は、サンゴ礁の破壊や海洋生態系のバランスの崩壊、魚介類の成長阻害など、さまざまな悪影響を引き起こします。
例えば、サンゴは酸性化により骨格を形成する能力が低下し、サンゴ礁が減少することが報告されています。
海洋酸性化は地球温暖化と並んで重要な環境問題とされており、国際的な対策が求められているのです。
海洋酸性化を防ぐための最も効果的な方法は、二酸化炭素の排出量を削減することです。
これには、再生可能エネルギーへの移行、エネルギー効率の向上、森林破壊の阻止、新しい食生活への移行などといった気候変動対策が含まれます。
また、炭素吸収源としての海や森林の保全も重要です。
具体的には、化石燃料に依存した生産・消費構造からの脱却、持続可能な農業や漁業の推進、温室効果ガス排出量の削減を目指した国際的な合意の実施などが求められます。
個人レベルでは、低炭素生活を心がけ、公共交通の利用、エネルギー使用の効率化、再生可能エネルギー源を利用することなどを通じて、二酸化炭素排出量の削減に貢献できます。
海洋酸性化は、一国だけでなく全世界の協力が必要なグローバルな課題です。
地球規模での気候変動対策と連携し、総合的な取り組みを進めることが、海洋環境を守るためには不可欠です。
次回の記事では、ターゲット4について解説していきます。