目標11.住み続けられるまちづくりを ターゲット5
世界各地で自然災害が増加しており、持続可能な開発の大きな障害となっています。
災害に対する脆弱性を減らし、被害を軽減していくことは国際社会の重要課題の一つです。
毎年、世界では、約1億6千万人が被災し、約10万人の命が奪われるとともに、約400億ドル以上の被害が発生しています。
また、近年では1970年代に比べて、発生件数、被災者数ともに約3倍に増えていることから自然災害発生の深刻さがわかるでしょう。
とりわけアジアでは、約23万人の犠牲者を出したインド洋津波災害や約9万人の犠牲者を出した中国四川大地震等、災害が多発しています。
世界全体に占めるアジアの被害状況は、発生件数で世界の約4割、死者数の約6割、被災者数の約9割、被害額で約5割にも及びます。
また、災害による犠牲者の大半が低所得国、中低所得国に集中しており、災害と貧困の悪循環が課題です。
自然災害は、特に基本的なインフラが不十分な開発途上国で深刻な影響を及ぼしています。
耐震性が不足した住宅では、地震発生時に壊滅的な被害が発生し、その結果、多くの人々が貧困に陥る可能性があります。
災害後の復旧と復興には多大な資金と時間が必要であり、経済発展にも影響を与えます。
さらに、農業や産業への影響は生計の喪失につながり、教育や健康へのアクセス制限など、貧困の悪化を招いています。
このため、災害リスク軽減と貧困削減のための持続可能な開発戦略の実施が求められているのです。
国際社会は、災害リスク軽減のために様々な取り組みを行っており、これには、国際援助、技術支援、災害リスクマネジメントの能力強化が含まれます。
例えば、国連災害リスク軽減戦略(UNDRR)は、災害リスクの理解を深め、リスク管理の能力を強化するための国際的枠組みを提供しています。
また、世界銀行は、財政的リスク管理、復興計画、災害に強いインフラの構築を支援しています。
これらの取り組みは、災害による損失を減らし、貧困層や脆弱な立場にある人々を守るために重要な役割を果たしているのです。
次回の記事では、ターゲット6について解説していきます。