目標6.安全な水とトイレを世界中に ターゲットa
自然環境を損なうことなく、誰もが安全で清潔な水を利用できる未来を実現するためには、日本を中心とした先進国の技術協力が求められています。
世界一といわれている日本の水処理技術ですが、既に多くの国で導入が進んでいます。
開発途上国の水不足解決につながる代表的な日本の技術を3つご紹介します。
地球上の水の97%を占める海水をろ過し、飲用水や生活水として利用できる淡水に変える技術を海水淡水化技術といいます。
海水淡水化技術には蒸発法と、RO膜でろ過する逆浸透(RO)法がありますが、現在はエネルギー効率の良いRO法が主流です。
海水と比較して3分の1のコストで飲み水を作れる資源として、下水が注目されています。
日本で下水の再利用率は2%に留まっていますが、水資源が少ない中東地域では実に80%が再利用されています。
この下水処理に最適だと考えられているのが、日本が開発した膜分離活性汚泥法(MBR)とRO膜を組み合わせたシステムです。
RO膜でろ過してから、下水中の病原性原虫類や大腸菌、ウイルスを活性汚泥と合わせて除去することで、綺麗な水を精製できます。
自然界に生息する微生物の浄化能力を活かして水をろ過し、安全な水を作り出す浄水法が生物浄化法(EPS)です。
貯水槽に貯めた水を、砂利や微生物が住み着いた槽で何段階かに分けて浄化するシンプルな仕組みで、コストも安く、メンテナンスも容易なことから貧困に苦しむ開発途上国でも導入しやすいというメリットがあります。
先進国の支援により水インフラが整備されても、途上国内にはインフラを維持管理する技術がなく、設備を持続できないといった問題が浮き彫りになっています。
水資源の安定的な供給のためには、途上国の自立を促す能力構築が欠かせません。
日本の政府開発援助(ODA)の実施機関である国際協力機構(JICA)では日本の技術力を活かし、諸外国への水道分野の専門家派遣や研修生の受け入れなどを行っています。
このように先進国の水処理を含む技術で途上国の水と衛生分野での活動を支援していく必要があるのです。
次回の記事では、ターゲットbについて解説していきます。